危険運転致死傷罪の一類型である信号無視運転致死とは,どのような犯罪なのでしょうか?

2017年03月08日
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危険運転致死傷罪の一類型である信号無視運転致死とは,どのような犯罪なのでしょうか?

危険運転致死傷罪とは,酩酊運転など類型的に高い危険性を帯びた運転行為により人を死傷させた場合に適用されます。




▼対象となる交通事故
「女子高生がトラックにはねられ死亡、運転手の男を現行犯逮捕」

  危険運転致死傷罪


2017年2月2日,大阪市西淀川区の交差点で,自転車に乗っていた高校生(16)がトラックにはねられ、頭を強く打って死亡しました。
警察は,トラック運転手が赤信号を意図的に無視したとして,危険運転致死罪の疑いで送検しました。





◆そもそも危険運転致死傷罪とは

危険運転致死傷罪とは,酩酊運転など類型的に高い危険性を帯びた運転行為により人を死傷させた場合に適用されます。危険な運転行為に故意があり,死傷の結果については故意がないことが前提になっています。

自動車の運転により人を死傷させる行為等に関する法律により,を負傷させた場合は15年以下の懲役,人を死亡させた場合は1年以上の有期懲役と定められています。







◆信号無視運転致死とは


自動車の運転により,人を死傷させる行為等の処罰に関する法律第2条第5号は,「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視し,かつ,重大な交通の危険を生じさせる速度で自動車を運転する行為」と規定しています。


「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視」とは,およそ赤色信号に従う意思のないことを意味します。赤色信号であることの確定的な認識がない場合であっても,信号の規制自体に従うつもりがないため,その表示を意に介することなく,たとえ赤色信号であったとしてもこれを無視する意思で進行する行為も含まれます(最決平20・10・16)。

「重大な交通の危険を生じさせる速度」か否かは,交差する道路や対向車線を信号表示に従って進行する車両,あるいは,道路を信号表示に従って横断する歩行者の存在等も加味して判断されます。判例では,赤色信号を無視して時速20kmで交差点内に進入した事案について,「重大な交通の危険を生じさせる速度」であったと認定したものがあります(最決平18・3・14刑集60巻3号363頁)。 









◆本件についてみると,


現場は信号機と横断歩道がある交差点だったようです。


そして,防犯カメラの映像などから,トラックが交差点に進入するかなり前に信号が赤に変わっていたことが判明しました。そのため警察は,トラック運転手が「赤色信号又はこれに相当する信号を殊更に無視」したと判断したようです。
また,具体的なスピードなどの詳細な事実は記事には記載されておりませんが,「重大な交通の危険を生じさせる速度」であったと,警察が総合的に判断したものと思われます。






◆終わりに


危険運転致死傷罪に該当する類型は,人の生命身体にとって高い危険性を帯びており,重大な結果を発生させます。運転手の方には,くれぐれも安全運転を心がけていただきたいと思います。




▼参考記事
「死亡事故被害者の救済」
解決事例064「横断歩道上で発生した死亡事故について裁判で7000万円」

(弁護士法人よつば総合法律事務所  弁護士 根來真一郎 )


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