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飲酒運転の加害者は,その後どんな処分が科されるのですか?

 
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飲酒運転の加害者には,その後どんな処分が科されるのですか?

酒気帯び運転による交通事故は,刑事上・民事上・行政上の重い責任が科されるものとなっています。

 飲酒運転の法的責任 



◆酒気帯び運転の車,歩行者はね別の車に衝突


平成28年12月15日午前6時頃,横浜市神奈川区の交差点で乗用車が信号を無視し,横断歩道を渡っていた派遣社員の男性(30)をはね,その後前方に止まっていた別の乗用車に衝突するという事故が起きました。

この事故で,男性は骨盤を折るなどの重傷を負い,衝突された乗用車に乗っていた男性ら2人も軽症です。
事故を起こした乗用車を運転していた加害者の呼気からは,基準値を超えるアルコールが検出されていました。

飲酒運転に対する法規制が平成26年に改正されていますが,今回の事故を起こした加害者にはどのような法的責任が生じるのでしょうか。






◆危険運転致傷罪(自動車運転死傷処罰法第3条),12年以下の懲役が科されるおそれ


今回の事故を起こした加害者は,飲酒運転をしています。

自動車運転死傷処罰法第3条によると,アルコールや薬物,又は病気のために正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転し,その結果,人を負傷させたという場合,危険運転致傷罪とし,1年以上12年以下の懲役に処すると定めています。


したがって,今回の事故が上記の危険運転致傷罪に当たるかどうかは,「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」で運転していたかどうかの判断によることになります。
「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」とは,アルコールや薬物,又は病気のために、自動車を運転するのに必要な注意力・判断能力・操作能力が相当程度低下して,危険である状態のことを言います。




アルコールの影響による場合には,道路交通法の酒気帯び運転罪になる程度のアルコールが体内にある状態であれば、通常はこれに当たります。すなわち,血中アルコール濃度では0.3mg/ml以上,呼気中アルコール濃度では0.15mg/l以上の状態であれば,通常は「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」に当たります。

今回の事故を起こした加害者の体内アルコール量は分かりませんが,血液1ミリリットル中にアルコールが0.3ミリグラム以上ある場合や,呼気1リットル中アルコールが0.15ミリグラム以上ある場合には,「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」に当たり,1年以上12年以下の懲役が科されることになります。

ちなみに,この加害者のアルコール量が上記の数値よりも少なく,「正常な運転に支障が生じるおそれがある状態」に当たらない場合には,自動車運転死傷処罰法第5条の過失運転致傷罪として,1年以上7年以下の懲役もしくは禁固または100万円以下の罰金が科されることになります。






◆被害者3人から民事上の責任を追及されうる


今回の事故により,横断歩道を渡っていた派遣社員の男性と,前方に止まっていた別の乗用車に乗っていた男性ら2人が怪我を負っています。


今回の事故は,飲酒の影響の有無にかかわらず,事故を起こした加害者の過失(相当の注意を欠いたこと)によって発生したものであり,加害者には民事上の責任として,不法行為による損害賠償義務が生じます。

加害者が賠償しなければならない費用として考えられるものについて,@3人共通のもの,A横断歩道を渡っていた派遣社員の男性に対するもの,B前方に止まっていた乗用車に乗っていた男性らに対するものの3つに分けて説明します。

@3人共通のもの
治療費用、入院雑費や入通院交通費などの入通院に伴い支出する費用及び慰謝料などがあります。

A横断歩道を渡っていた派遣社員の男性
この男性は骨盤を折るなどの重傷を負っていることから,休業損害(交通事故により受けた傷害の症状が固定するまでの療養の期間中に,傷害及びその療養のため休業し,又は十分に稼働することができなかったことから生ずる収入の喪失のことを言います。)及び後遺障害による逸失利益(被害者の身体に後遺障害が残り,労働能力が減少するために,将来発生するものと認められる収入の減少のことを言います。)などが考えられます。

B前方に止まっていた乗用車に乗っていた男性ら
衝突された車両の修理費用などが考えられます。



このように,今回の加害者は3人から損害賠償請求をされるおそれがあり,その場合には多額の損害賠償義務を負う可能性があります。






◆免許の停止・取消し


飲酒運転をした者は,行政上の責任も負います。

運転者の状況によって,免許の停止処分か免許の取消処分がなされ得ます。
呼気1リットル中アルコール0.15mg以上0.25mg未満の状態であれば,免許の停止処分がなされ得ます。

呼気1リットル中アルコール0.25mg以上の状態もしくは,アルコールの影響により正常な運転ができないおそれのある状態には,免許の取消処分がなされ得ます。






◆酒気帯び運転の法的責任は重い


このように,酒気帯び運転による交通事故は,刑事上・民事上・行政上の重い責任が科されるものとなっています。



(弁護士法人よつば総合法律事務所 弁護士 大友竜亮)
プロフィール
弁護士法人よつば総合法律事務所
地域最大級の弁護士14名が所属しております。事務所名の「よつば」は事務所に関わる人が皆幸せになるようにとの思いから名付けました。お気軽にご相談ください。
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