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交通事故知識ガイド下肢及び足指

腸骨翼骨折、恥骨骨折、坐骨骨折、尾骨骨折など骨盤骨折

骨盤の解説

骨盤
骨盤

骨盤は仙骨、尾骨及び左右の寛骨によって構成され、後方は仙腸関節、前方は恥骨結合で連結して骨盤輪を形成しています。寛骨は、腸骨、坐骨及び恥骨が癒合してできています。骨盤は、強靭な靭帯等の軟部組織により連結されているため、通常体重の数倍の荷重が負荷されていますが、安定して体幹の姿勢を支え、身体の要となっています。
骨盤

腸骨翼骨折の解説

腸骨翼は、腰の両横にあって、皮下に触れることができる突出した部分です。
腸骨翼は、前方、後方または側方からの衝撃で骨折することがあります。骨盤輪の連続性を断たず、出血を伴わないものは軽症例です。
急性期は入院下で安静が指示されますが、比較的早期に歩行器等を使用したリハビリが開始され、後遺障害を残すことなく治癒することが多いです。

ただし、単独骨折であっても骨盤腔内に3000mlを超える大量出血することがあり、その際は、急性期には出血性ショックに対応して全身管理が必要となります。

恥骨・坐骨骨折の解説

恥骨骨折や坐骨骨折は前方からの外力、下方からの外力により生じることが多いです。交通事故では、出合い頭衝突で前方向から衝撃を受けたり、墜落して坐骨が強打されたりして生じます。

恥骨骨折の重症例では、膀胱損傷、尿道損傷を合併することがあります。
坐骨骨折では、半腱・半膜様筋・大腿二頭筋により、骨折部は下方へ転位し、膝関節屈曲や股関節の伸展が障害されます。

片側の恥骨や坐骨の骨折であれば、ほとんどは、骨盤輪の連続性が断たれない安定型骨折であり、入院することはあっても、手術に至ることはありません。
比較的早期に歩行器を使用して短い距離を歩くリハビリが開始され、最終的には症状は軽快し、後遺障害が残らないことが多いです。

尾骨骨折

仙骨の下についている骨で、尾底骨とも呼ばれています。

交通事故では、自転車、バイク等でお尻から転倒したときに骨折することが多く、骨片はないほうに転位するのですが、尾骨は3個から5個の尾椎が融合したもので、つなぎ目があることと、事故前から屈曲変形していることもあり、XPでは骨折と判断することが困難であることが特徴です。
治療は、通常は保存的に安静が指示されています。
尾骨骨折により、尾骨が屈曲変形をきたしたときは、女性の産道が確保できなくなることがあります。
このような場合、分娩は、帝王切開に限定されることになります。婦人科医の診断及び画像での立証により、「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」(11級10号)が認定される可能性があります。
尾骨骨折による屈曲変形

骨盤骨折の後遺障害認定のポイント

1 いずれも骨盤輪の連続性が断たれない骨折です。腸骨翼の単独骨折で大量出血を伴わないものや恥骨・坐骨の単独骨折で安定型のもので考えられる後遺障害は、痛みの後遺障害です。骨折部に疼痛を残しているときは、骨折部の3DCT撮影等で、骨癒合状況を立証します。

画像で確認できる変形癒合の度合いにより、以下の後遺障害の可能性があります。

  • 「局部に頑固な神経症状を残すもの」(12級13号)
  • 「局部に神経症状を残すもの」(14級9号)

2 尾骨骨折において考えられる後遺障害の場合痛みの後遺障害に加えて産道への影響が発生する場合があります。

尾骨骨折後、産道確保が保たれていないときは、「胸腹部臓器の機能に障害を残し、労務の遂行に相当な程度の支障があるもの」(11級10号)の認定が考えられます。
立証としては、骨折部の3DCT画像を婦人科に持ち込み、正常産道が保たれているかを判断していただく必要があります。

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