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3.「慰謝料について」編

事故後の補償について【治療費・休業損害・慰謝料等】(弁護士 村岡 つばさ)

はじめに

思いもよらぬ事故に遭われて、お身体の痛みを抱える中で、「いつまで治療費は出してくれるのか?」「仕事を休んだ分の補償は出してもらえるのか?」「立て替えた交通費はどうなるのか?」「慰謝料はどれくらい出るのか?」等々、今後の補償に関する不安を抱えている方は、非常に多くいらっしゃいます。

ここでは、交通事故の補償の項目・基準等について、簡単な説明をさせていただきます。

治療費等について

「症状固定」と判断されるまでの治療費については、原則として補償の対象となります。

「症状固定」とは、ざっくり言うと、治療を続けてもあまり改善が見込めなくなった状況を言い、症状固定か否かは、医師により判断されます(例えば、むち打ちの場合、3か月~半年程度で症状固定となることが多いです。)。したがって、保険会社から「打ち切り」をされた後、主治医の先生が症状固定と判断するまでに立て替えた治療費は、原則として相手方に請求できます。ただし、任意の話合いの段階では、「打ち切り後の治療費は一切支払わない」という回答をする保険会社も多く、このような場合、打ち切り後の治療費を回収するためには、訴訟等をする必要があります。

他方、症状固定と判断された後の治療費は、事故との因果関係がないものと扱われてしまうため、補償の対象には含まれないこととなります。

休業損害(休業補償)について

事故により休業を余儀なくされ、現実の収入減がある場合には、原則としてその減収部分が補償の対象となります。この考えは、給与所得者であっても自営業者であっても基本的には同じですが、自営業の方の場合、休業期間・基礎となる収入について争いとなることがあります。

また、主婦の方であっても、事故により家事ができなかった期間につき、休業損害を請求することができます。この場合、女性労働者の全年齢平均の賃金額(平成27年度だと、日額1万200円程度となります。)を基礎として、金額を算定することとなります。ただし、休業の期間について、保険会社と争いになることがあります。

入通院慰謝料について

交通事故の慰謝料は、裁判所によって基準が設けられています(裁判基準、赤本基準などと呼ばれるものです。)。

この基準は、何日間入院・通院した場合にはいくら、という風に、自動的に金額が出るようになっています。例えば、むち打ちの症状で半年間通院した場合には、裁判所の基準だと、89万円という通院慰謝料が支払われることとなります。機械的に慰謝料を算定するということ自体、個人的には疑問がありますが、裁判所も基本的にはこの基準に則って慰謝料を算定するため、この基準を上回るような慰謝料の認定は、ほとんどなされないという実情がございます。ただし、極めて悪質な事故(無免許、ひき逃げ、酒酔い、著しいスピード違反等)である場合などには、例外的に慰謝料の増額を認める場合もあります。

上記はあくまでも裁判所の基準であり、弁護士が入る前に保険会社が提示してくる金額は、この基準よりもずっと低額なことが多いです(いわゆる保険会社基準と呼ばれるものです)。また、この保険会社基準よりも低額な基準として、自賠責基準と呼ばれるものもあります(慰謝料は通院1日4、200円というのが、この自賠責基準です。)。

後遺障害について

不幸にも症状が残ってしまい、後遺障害が認定された場合には、後遺障害慰謝料と、逸失利益を請求することができます。

後遺障害慰謝料は、後遺障害が残ってしまったことそれ自体に対する慰謝料であり、これについても、等級ごとに、裁判所の基準があります。例えば、後遺障害14級の場合、裁判所の基準だと、110万円が後遺障害慰謝料として認められます。

また、逸失利益というものは、後遺障害による将来の労働への影響を補償するものです。この逸失利益についても、裁判所の基準(計算式)があります。例えば、後遺障害14級の場合、将来5年間にわたって、5%労働力が下がると仮定し、事故前年の収入×5%×4.3295という計算式で逸失利益を算定します。なお、ややこしいですが、ここで5年ではなく4.3295となっているのは、5年間を前倒しでもらうので、利息分を考慮して多少差し引きましょう、というルールによるものです。

おわりに

以上、交通事故の賠償で問題となることの多い項目について、簡単に説明させていただきました。上記説明はあくまでも一般的な説明であり、具体的な事情により、補償の内容は異なってきます。不幸にも交通事故の被害に遭われた際には、依頼するか否かにかかわらず、一度弁護士に相談し、直接説明を受けることを、強くオススメします。

(文責:弁護士 村岡 つばさ

適正な賠償金を(弁護士 大友 竜亮)

相手から提示される額は、適正でない場合が多い

交通事故に遭ってしまった際に、相手の保険会社から損害賠償の額を提示されることがあります。この提示額は、裁判になった場合に認められる金額、つまり適正な損害賠償額に比べて低いことが一般的です。

交通事故に遭遇することは、そうそうあるものではなく、交通事故の損害賠償について詳しい方でなければ、適正な賠償額について把握していないことが通常です。

私たちが相談を受けている中で思うことは、治療および損害賠償の面で、適正な措置を受けられていない方が多いということです。

適正な賠償金に近づけるために

交通事故に遭い、身体に傷跡や後遺障害が残ってしまったり、日常生活に支障が出てしまったりすることは、本当に悲しいことです。幸い身体に障害が残らなかったとしても、交通事故に遭遇したことにより感じる苦痛は非常に大きいものです。 時間を戻すことはできないですが、私たちとしては、せめてこの悲しみや苦しみに対して、適正な賠償金を獲得できるように精一杯サポートしていきます。

休業損害や慰謝料、過失割合などの個々の争点について、当方に最大限有利な解決になるように分析・検討を重ね、依頼者の方にとって最善の解決になるよう粘り強く案件に取り組んでいきます。

事故現場に出向くことも

事故状況についてお互いの主張が正反対になっている事案がありました。お互い相手が100%悪いとの主張で、話し合いが全く進みませんでした。もちろん、私はご本人の言い分が正しいことを確信しているのですが、後々裁判になることも見据えて、実際に現場に赴いて事故状況を確認したりしました。

その後、粘り強く交渉を続けていくうちに、相手方も交渉に応じるようになり、相手も非を認めるに至りました。

適正な賠償金獲得のためには、現場に出る必要がある場合もあります。その際には、依頼者の方に最大限有利な解決になるように対処したいと思っております。

適正な賠償金を

平和な日々私たちは、不幸にも交通事故に遭い、身体に後遺障害が残ってしまったり、日常生活に支障が出てしまったりする方々を精一杯サポートしていきます。今後も、適正な賠償金を獲得するために、粘り強く案件に取り組んでまいります。

(文責:弁護士 大友 竜亮

交通事故における弁護士の役割(弁護士 加藤 貴紀)

よつば総合法律事務所の弁護士の加藤です。

交通事故の被害に遭った時、加害者が保険に入っている場合には、その保険会社から治療費や通院慰謝料などの損害賠償を受けることになります。

この損害賠償の額は、低額な自賠責基準から高額な裁判所基準まであるのですが、通常保険会社が最初から裁判所基準による額を提示してくることは少ないというのが現状です。

弁護士加藤貴紀

この理由としては、保険会社も慈善事業をやっているわけではなく営利を求めるためにやっているということが第一にあると思いますが、損害を賠償するということについて保険会社の適切な損害の賠償をするということへの認識できていないということも理由の一つとして挙げられるかもしれないと私は思っています。

保険会社によって支払われる賠償額は、弁護士が受任して交渉することですぐに増額されることがよくあります。
以前、当事務所の弁護士が交通事故に遭って、リハビリのため病院に通院しておりました。そして、通院が終わって賠償額の交渉をする段階になって保険会社から賠償額の案を提示されたのですが、やはりその賠償額は自賠責基準に基づくものでした。その弁護士は、裁判所基準に基づく賠償額を示したりして保険会社に増額を求める交渉を続けたのですが、保険会社の担当者の回答は、「弁護士をつけていないから裁判所基準にはならない。」と言うものでした。
これに対して、私がその弁護士から委任を受けて保険会社に連絡したのですが、たった一本の電話で賠償額が倍に増額されました。

交通事故における損害賠償とは、被害者が交通事故によって物を壊されたり、通院したりすることによって被った損害分を支払ってもらうことで、生じている損害が変化するものではないと思います。弁護士が就いたか否かを問わず、被害者が賠償を受けるべき損害は決まっているのです。後は、その損害の内、どれほどの部分を賠償するかという問題が残るだけです。
そして、弁護士をつけるだけで保険金が増額されるというのはあまりにも不合理なものです。

このような運用がなされている以上、私達弁護士がやるべきことは上記のような事実を周知し、交通事故の被害者が適切な賠償を受けられるようサポートすることであると思います。
当事務所は、積み重ねてきた交通事故の知識とともに、交通事故被害者の方が適切な賠償を受けられるようにしたいという気持ちを持って事件対応に取り組んでおります。

(文責:弁護士 加藤 貴紀

弁護士費用特約制度利用の現状(弁護士 加藤 貴紀)

こんにちは、よつば総合法律事務所の加藤です。

本稿では、交通事故の示談交渉の際の弁護士費用を保険会社が賄ってくれる付帯特約である弁護士費用特約についてお話させていただきます。

弁護士費用特約は、自動車保険の任意保険につけることができる付帯契約です。多くの保険会社は300万円まで弁護士費用を負担してくれ、この付帯契約をしておくと、費用を気にすること無く弁護士に示談交渉や訴訟などを依頼することができ、交通事故被害者にとってはとても有用な制度であると思います。

私は、交通事故案件で被害者の方から、保険会社から提示された賠償額が適切であるのかという相談を受けることがよくあるのですが、弁護士費用特約が付されていないことで悔しい思いをしたことがあります。

以前、交通事故への思いとこだわりにて、「交通事故における弁護士の役割」と言うタイトルでお話させていただいたのですが、交通事故における損害の賠償基準は自賠基準、任意基準、裁判所基準があり、通常保険会社が最初に被害者に提示してくる賠償額は、自賠基準に基づく低額なものであることがほとんどです。
そして、この賠償額は弁護士が受任して示談交渉することで増額される可能性がとても高いです。

しかし、例えば、通院が終了して後遺障害等級認定がされなかったような被害者の方で、通院慰謝料の額が主に争いになっていて、弁護士が受任すれば多少増額が期待できるが、増額分が弁護士費用を上回るか微妙なケースがあります。
このようなケースで弁護士費用特約がついていない場合、積極的に弁護士に依頼することをお勧めするべきか判断に迷う事が多く、保険会社との示談交渉の進め方をお伝えすることで終了してしまうこともあります。結局このジレンマ故に被害者の方の十分なサポートができないことが非常に悔しく思えます。

このことは、以前の「交通事故における弁護士の役割」でもお話しました、弁護士がつかなければ保険金の増額可能性が高くないという保険会社の不合理な運用実態によるものでもあります。

弁護士費用特約を付けられている方はたくさんいますが、同時に付けていることを認識されていない方もたくさんいらっしゃいます。保険会社の運用を見ている限り、弁護士費用特約を付けることは適切な賠償を受けるために必要不可欠なものであると言っても過言ではありません。

備えあれば憂いなし。保険の契約をされるときはどのような保証がなされるのかをきちんと確認した上で契約されることをお勧めいたします。

(文責:弁護士 加藤 貴紀

死亡事故における慰謝料(弁護士 小林 義和)

こんにちは、小林です。

今回は、死亡事故における慰謝料について考えていきたいと思います。

慰謝料は、交通事故にあった被害者の精神的苦痛を金銭的に評価して賠償すべき損害とされるものです。
死亡事故の場合は、人が死亡してしまうという事故の重大性から、被害者のみならず、近親者の精神的苦痛も相当に大きなことが想定されます。

そのため、近親者(民法711条記載の被害者の父母、配偶者及び子とそれに準ずる者)の精神的苦痛についても、被害者の慰謝料とは別途認められることとなっています。

そして、日弁連交通事故相談センター東京支部が出している民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準という本(いわゆる赤本)では、以下のように一定の基準が規定されています。
被害者の方が、一家の支柱であれば2,800万円、母親・配偶者の場合は2,500万円、その他(独身の男女、子供、幼児等)の場合は2,000~2,500万円とされています。

また、死亡慰謝料の配分については、遺族間の内部の事情を斟酌して決めるとされています。

そのため、支払われた慰謝料総額について、近親者でどのように配分するかも、法定相続分のみならず固有の慰謝料の有無等もふまえて、遺族間で決める必要があります。

また、赤本の基準はあくまで一つの基準であり、実際には具体的事情にあわせて判断されます。
例えば、裁判例では、娘が9歳のときに離婚し、その娘が17歳になるまで扶養してきた母親(兼業主婦、49歳)について、本人分2,600万円、娘400万円と、基準よりも高い金額を認めた判例があります。

また、母親で兼業主婦である32歳の方について、加害者が公判廷で謝罪したいと述べ裁判所から言われたにもかかわらず、結局謝罪をしなかった件で、本人分2,400万、夫200万、両親各150万の合計2,900万円という基準より高い金額を認めた裁判例もあります。

さらに、独身の31歳会社員の男性について、一人息子でいずれは父親の経営する会社を承継する立場にあったことなどをふまえ、本人分2,200万円、父母各300万の合計2,800万円という基準よりも高い金額を認めた裁判例もあります。

このように、赤本の基準の数字をベースにしながらも、その方の個別の事情をよくお伺いさせて頂き、通常よりも精神的苦痛が大きいといえる事情がある場合は、具体的に主張していくことを心がけています。
死亡された事故の場合は、特に遺族の方の悲しみは深いものでありますので、お気持ちをなるべく反映できるように心がけながら取り組みをさせて頂いております。

(文責:弁護士 小林 義和

死亡事故に場合における生活費控除率(弁護士 小林 義和)

こんにちは、小林です。

今回は、死亡事故に場合における生活費控除率という点について考えてみたいと思います。

生活費控除率は、死亡事故における逸失利益(事故がなかったら将来得られるであろう利益についての損害)を計算する際に問題となってくる概念です。

死亡事故の場合は、事故により死亡したことで、得られたであろう収入が得られなくなる一方で、生存していた場合にかかったであろう生活費等の支出が不要になるという側面もあります。

そのため、支出が不要になった部分を生活費として、逸失利益から差し引いて計算をしようとするものです。

この生活費控除率について、日弁連交通事故相談センター東京支部が出している民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準という本(いわゆる赤本)によると、具体的に以下のように場合分けして記載されています。

まず、死亡された方が一家の支柱である場合の生活費控除率は、被扶養者が一人の場合は40%、被扶養者が2人以上の場合は30%とされています。

これは、生活費控除率を考える際には、基本的に被害者個人の生活費を基準に考えるのですが、扶養者がいる場合は、それだけ自己の生活費を抑制すると考えられることから、被扶養者が多いほど生活費控除率を減少させる形となっています。

そして、女性(主婦、独身、幼児当を含む)の場合は30%、男性(独身、幼児等を含む)は、50%、年金部分については50%と通常よりも高くされています。

赤本では、男女で差を設けていますが、今後は性別で差を設けるということも変化してくる可能性があります。

赤本ではこのように規定されており、この基準自体は一般的に適用されるものです。

しかし、一方でこの基準はあくまで目安であり、具体的な事情によっては異なる割合となります。

例えば、裁判例でも、農業に従事している66歳の女性につき、農業者年金、国民年金の収入は生活費にあてられるものと推認して農業収入のみを収入として、その生活費控除率を通常の30%よりも低い25%と認定した判例もあります。

また女性と交際していた25歳の男性について、子をもうけるかどうかは不確定ですが、遅くとも30歳までには婚姻するものとして生活費控除率を30歳まで50%、それ以降は40%と通常の独身男性よりも低い割合を認定した判例もあります。

私どもも、赤本の基準を出発点としましますが、その方の状況に応じて変わってくることも踏まえて、なるべく具体的に事情をお聞きさせて頂き、御意向になるべく添える形で提案していくことを心がけております。

(文責:弁護士 小林 義和

後遺症(14級9号・12級13号)における逸失利益(弁護士 小林 義和)

こんにちは、小林です。

今回は、後遺症の中でも一番認定件数が多い14級9号や12級13号における逸失利益(将来にわたって後遺障害のために労働能力の一部が失われたことに伴う減収)について考えてみたいと思います。

14級9号は、局部に神経症状を残すもの、12級13号は、局部に頑固な神経症状を残すものとされています。

これは、むち打ちによる首や腰の捻挫等でも認定されるものですが、それ以外でも例えば、骨折後の手首の痛みや膝挫傷後の膝痛、足骨折後の足の痛み等によっても、認定されることがあるものです。

日弁連交通事故相談センター東京支部が出している民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準という本(いわゆる赤本)によると、後遺障害についての労働能力喪失期間は、原則として就労可能年齢である67歳までとされています。
(症状固定時の年齢が67歳に近いものについては、簡易生命表の平均余命の2分の1と67歳までの年数の長い方を採用します。)

しかし、賠償交渉の際に、保険会社はよく14級9号だから労働能力喪失期間は3~5年である、12級13号だから7~10年程度であると主張してきます。

たしかに、赤本では、むち打ち症の場合は、12級13号では10年程度、14級9号では5年程度に制限する例が多く見られると記載があります。
しかし、赤本では同時に後遺障害の具体的症状に応じて適宜判断すべきであるともしています。

つまり、赤本によると、そもそも骨折を伴うようなものも含めて原則として67歳まで労働能力喪失が認められるべきであり、また、むち打ち症の場合であっても後遺障害の具体的症状に応じては労働能力喪失期間は5年や10年程度に制限されない場合もあることがわかります。

実際に、判例でも、専業主婦(症状固定時36歳)の右膝挫傷後の右膝痛(14級9号)につき、事故後6年経過後も右膝痛が残存し、ひどい時には点滴治療を受けていること、足に負担のかかる家事に支障が生じていること、後遺障害診断書に将来の憎悪の可能性を認める記載があることから、67歳までの31年間について5%の労働能力喪失を認めた判例もあります。

このように、裁判所では、同じ14級9号や12級13号であっても、労働能力喪失期間は、具体的な負傷部位や症状の程度、後遺障害の具体的な症状に応じて具体的に判断されます。

たしかに、訴訟をすると時間や負担もかかります。
しかし、重い後遺症が残り仕事や日常生活上支障が生じて苦しまれている方のことを考えると、賠償請求の打ち合わせの際には、被害者の方のご意向を伺い、適正な賠償を受けることができるように努めることを心がけています。

(文責:弁護士 小林 義和

将来介護費について(弁護士 小林 義和)

介護こんにちは、小林です。

今回は、主に重傷の事故の際によく争いとなる将来介護費について考えていきたいと思います。

将来介護費とは、症状固定後に重篤な後遺障害が残存してしまい、近親者や職業人による介護や見守りが必要となった場合に、その費用相当額が損害として認められるものです。

将来介護費は、日弁連交通事故相談センター東京支部が出している民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準という本(いわゆる赤本)によると、医師の指示または症状の程度により必要があれば、被害者本人の損害として認められるとされています。

そして、赤本によると職業介護人の場合はその実費が全額、近親者の付添人については1日につき8,000円が損害として認定されるとされています。
ただし、具体的看護の状況により増減することがあるともされています。

そのため、その方の症状に応じて、将来の各時期においてどのような介護が必要になるのかを具体的に考えていく必要があります。

例えば、裁判例では、脳機能の障害である遷延性意識障害(後遺障害等級1級3号)の高校生(男・17歳)の方について、現時点では、自動車事故対策機構の療養施設に入所中であるが確実に継続される保証がないとし、母が働くことができるとされている67歳になるまでについては、母が主体父が補助的に24時間介護を行い、職業介護1日3時間の介護も必要であることから、近親者に1万円、職業介護人に6,000円の合計日額1万6,000円、以降平均余命までは職業介護人が2名交代制により日額1万8,000円の合計約1億1,678万円を将来介護費として認めた判例もあります。

このように、特に若い被害者の方の場合は、ご本人の将来の不安はもちろんのこと、それを支える家族においても身体的な負担のみならず金銭的な負担や心配が長期間にわたることが多いです。

将来介護費については、金額も大きくなることから、主治医の意見やひ被害者の具体的な症状・おかれている環境、周りの近親者の状況等にてらして、どの程度の介護が必要なのか、その介護を近親者がどれくらいできるのか、職業介護人がどのくらい必要となるのかといった、細かい主張が必要となることがあります。

また、ご本人のみならず周りの方の負担は、相当長期間続くこととなり、ご親族の今後の生活にも多大な影響が生じるケースが多いです。

その負担について、適切な金銭的補償を受け、職業介護人と介護を分担することで近親者の負担を少しでも軽減することは、近親者にとっても非常に重要なことといえます。

私たちも、重傷の方の件を多く取り扱いさせていただいていますが、いつもそのような点を意識しながら取り組んでいます。

(文責:弁護士 小林 義和

休業損害・逸失利益について(弁護士 小林 義和)

こんにちは、小林です。

今日は、休業損害・逸失利益について述べていきたいと思います。

休業損害は、一般的には症状固定日までの期間においての損害をさします。具体的には、事故前の収入を基礎として、事故による受傷によって休業したことによって生じた現実の収入減を損害とします。
また、時々見落とす方もいらっしゃるのですが、有給休暇を使用した場合も現実の収入源はありませんが、その有給休暇分も休業損害として認められます。

逸失利益については、症状固定日後の将来見込まれる減収分をさします。
これは後遺症が認定されたときに認められるものであり、後遺症がなければ得られたであろう収入が得られなくなったとして、その得られなくなった利益分を損害として算定します。

その際の計算の基礎とする収入については、給与所得者であれば、休業損害は事故前3カ月の平均給与額、逸失利益は前年度の源泉徴収票に記載の収入額を基準とすることが多いです。
この場合、特に休業損害の場合は、会社に休業損害証明書という書面を記載して会社印を押して頂く資料が必要となることが多いです。
通院中に会社を退職されたりすると、会社が書いてくれなくなることもありますので、早めに会社に作成をお願いしておくことが大事です。

その他では多いのが専業または兼業で家事に従事されている方です。
この方は、実際の収入自体はないのですが、家事労働を金額に換算して、女性労働者の平均賃金額を基礎収入額として算定することが多いです。
この点については、その方が家事をしていたということを具体的に主張しなければ認められないこともあります。そのため、具体的にどのような家事をどの程度されていたのかを主張することが重要です。
また、私の取り扱った件でも、夫婦のうち妻が正社員勤務で、夫が家事労働をしていた件がありました。その場合、相手方は収入がないと主張してくることも多いのですが、夫が家事をしていたことを具体的に主張していくことが重要なポイントでした。

また、個人事業主の方については、休業損害や逸失利益は、現実の収入減やその予測値で計算していきます。
ただ、個人事業主の方は、減収を証明する資料として、給与所得者のように典型的な書面が存在するわけではないため、その方に応じた資料を提出する必要が生じ、争われることが多いです。

私が取り扱いをした件でも、それを示す明確な資料がなく、膨大な個別の通帳の入金記載や領収書の写しから、一つ一つ算定していき、少なくともこれだけは減収したという証拠として提出して主張して認定していただいたこともあります。

このように、被害者の方の職業や状況に応じて、どのような証拠が必要で、損害額をどのように説得的に主張していくことができるかという点を日々考えながら、取り組んでいます。

(文責:弁護士 小林 義和

賠償の大きな要素 慰謝料について(弁護士 小林 義和)

こんにちは、小林です。
今回は、賠償の中でも大きな要素の一つである慰謝料について述べていきたいと思います。

慰謝料は、交通事故の被害にあったことで受ける精神的苦痛等を金銭になおして損害と請求しうる形にしたものです。
本来、精神的な苦痛は、事故の内容だけでなく、その人のおかれている環境や感じ方の問題もあるのでお金で測れるものではありません。
また、被害者の方を比較して、どちらの精神的苦痛等が大きかったかということも測れるものではありません。
しかし、賠償額は決めなければなりませんので、一定の基準が定められ、裁判所でも原則としてその基準に基づいて認定しています。

また、慰謝料は通院慰謝料(症状固定までの精神的苦痛について)部分と、後遺症慰謝料(症状固定日から将来にわたって生じるであろう精神的苦痛について)と主に2つにわけられます。
その他、死亡事故の場合には、亡くなられた方のみならず近親者の慰謝料も別途認められることがあります。

まず、通院慰謝料についてみていきますと、相手方保険会社から出てきた示談案をみると、実通院日数×何円×特別加算2倍等とかといった形で記載されていることもよくあります。
そして、交渉をすると、特別加算が3倍になったりします。

しかし、弁護士による交渉または裁判では、一般的に日弁連交通事故相談センター東京支部が編集している損害賠償額算定基準(いわゆる赤本)において基準が規定されており、基本的に慰謝料は赤本の基準を参照して計算します。
つまり、保険会社の上記基準はあくまで各保険会社が社内で作成した保険会社独自の基準に基づくものです。
そのため、3倍とか言われると、大幅にあがったように見えますが、それでも赤本基準の金額より大きく低いことが多くみられます。
そして、よくわからずに示談をしてしまい、あとで実は一般的な基準よりも低いということに気がつかれる方もいらっしゃると思います。

このようなことが起きないように、私たちは、常に適切な慰謝料をもらうべく相手方と交渉しています。
被害者の方とお話しすると多くの方が、お金で弁償もしてほしいが、何よりも元気だった事故前の体を返してほしいとおっしゃいます。

趣味ができたのにできなくなった、こういった仕事ができていたのにできなくなった、このような家事ができていたのにできなくなった等、人生の生きる目標を変更せざるをえなかったという無念の思いをたくさん聞きます。
そのような方に対して私たちがどれだけお手伝いできるかはわかりませんが、できることは、被害者の方のお気持ちを可能な限り汲み取りながら交渉するように日々心がけています。

(文責:弁護士 小林 義和

慰謝料について増額される場合(弁護士 小林 義和)

交通事故の慰謝料増額今回は、一般的な基準よりも、増額される場合について述べていきたいと思います。
交通事故においては、裁判所も一般的に採用としている基準として、日弁連交通事故相談センター東京支部が出している民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準という本(いわゆる赤本)に記載されている基準があります。

その赤本には、慰謝料の基準や、逸失利益についての基準(労働能力がどの程度後遺症により失われたか、どれくらいの期間減収になるか等)が記載されています。
しかし、それはあくまで一般的な基準であり、その基準よりも増額された金額が認められることもあります。

まず、慰謝料について増額される場合ですが、赤本では、被害者が幼児を持つ母親であったり、仕事等の都合など被害者側の事情により特に入院期間を短縮したと認められる場合入院待機中の期間及びギブス固定中当安静を要する自宅療養期間は入院期間とみて増額と記載されている。
実際に私が取り扱った件でも、被害者の方が出産直後で自宅療養を強く希望し退院した場合に、上記増額主張をして交渉したこともあります。

また、傷害の部位、程度によっては、20~30%程度増額するとも赤本には記載されています。
例えば、私が取り扱った件でも、被害者の方が美容師をされていて、後遺症を利き腕に残された方については、職業上特に影響があるため、増額を主張していきました。

その他、加害者が事故態様につき虚偽の事実を述べ、過失を否定したものの、あとでそれが虚偽とわかった場合に被害者の慰謝料増額が認められた判例もあります。(福岡高裁平成27年8月27日判決)
また、逸失利益においても、赤本で一定の基準が定められています。

しかし、ここでも後遺症が残った部位や仕事の内容によっては、増額事由が認められる可能性があります。
例えば、上記美容師の方などは、利き腕が非常に重要な仕事であり、その腕に後遺症が残るということは他の職業の方に比べて特に、労働能力の低下が著しいといえると主張できる可能性があります。
また、14級については、複数認定されても赤本上は14級とされます。ただ、1部位において14級認定がされることと、3部位がいずれも14級認定される場合とでは、慰謝料や逸失利益の労働能力喪失の利率についても、通常の感覚でも後者の方がより損害の程度は大きいと感じられるかと思います。そのような際も、具体的に主張していくことが大事です。実際に私の取り扱った事案でも、公平の観点からという点で増額を獲得した件もあり、判例でも増額を認めたものもあります。

このように、慰謝料や逸失利益等で増額認定をとることは簡単ではありません。
原則相手方は増額を否定してきますので、増額事由を具体的に主張・立証していく必要があります。
ただ、被害者のお気持ちやご苦労されている点をどのようにすれば損害額において考慮されることができ、被害者の方が前向きに進んでいけるようになるのだろうということを、日ごろから考えながら取り組んでいきたいと考えています。

(文責:弁護士 小林 義和

事故後すぐに生活の保障が必要な場合(弁護士 粟津 正博)

交通事故とお金交通事故によって、現実に生じた損害を相手方や保険会社に請求したのにこれを、すぐに賠償してもらえないことあります。
単純に、治療が終了してからまとめて示談をしたいと主張されることもありますし、損害額や事故の態様について合意できないため支払いを拒否されることもあります。

会社を休むことを余儀なくされた場合、例えば有給休暇がまだ残っており、実際給料の減収がないのであれば、治療終了後の示談により清算するということでもよいかもしれません。
しかし、特に自営業の方などは、仕事をできないことは即減収につながります。
さらに、その収入についても、会社が証明してくれるということがないため、保険会社が争って支払いを渋ることがあります。

依然取り扱った事案でも、外構工事の関係の自営業の方で、事故により休業されている方がいらっしゃいました。
しかし、相手方保険会社が収入関係の資料を請求するのみで、認定額を争い、支払いをしませんでした。被害者の方も、無理に仕事に復帰しようとしたもののやはり困難であり思い悩んでご相談にいらっしゃいました。

この件は、間に入って、裁判所の認定でも今ある資料で相当額の認定がなされることを説明した結果、休業期間分の損害額を支払いました。依頼者の方は、無理をして仕事に復帰するほど思い悩んでいたので、何とか休業損害の内払を受けることが出来て、非常に喜んでいらっしゃいました。

私は、事故により危険な思いをされ、怪我をさせられ、さらに賠償が受けられないために生活を脅かされるということはあってはならないことだと思います。
法的な面からしても、例えば事故により休業された場合には、その時点で損害が発生し、即時に賠償する義務があると言えます。
(ですので、後で裁判で金額が支払われる場合には、支払いが遅れていることについての遅延損害金が支払われます。)
しかし、現実的に相手方保険会社が支払いを拒むケースが一定程度ありますので、保険会社側の問題を解消し法的な面から支払い義務があることを説得しています。
それでも、支払いを拒む場合には、労災の適用や、自身で加入している保険の適用、相手方の自賠責保険に対し請求をすることご一緒に検討してお手伝いをするようにしています。

事故による被害を受けた方が、速やかな賠償・被害回復を受けること、事故後の対応によって二次的な被害を受けることを防ぐことは、交通事故事件に携わる者の役割であるし責任であると考えています。

(文責:弁護士 粟津 正博

主婦としての休業損害(弁護士 粟津 正博)

主婦交通事故に遭われた際、怪我等により仕事ができなくなることがあります。
会社員などの給与所得者であれば、会社に休業損害証明書を作成してもらい、事故前の給与水準から一日当たりの日額を算定し、休業日数分を支給することで、休業による損害の算定がなされることが多いです。

一方で、主婦の方であっても、怪我により、家事が出来なくなる事態は容易に想定されますので、当然休業に伴う損害が観念できます。
特に主婦は肉体労働ですので、怪我による支障が直接主婦としての業務に差し支えることがあります。
そこでこのような場合、どのように主婦としての休業損害(主婦休損などといいます)を考えればよいかというご質問を受けることがあります。

まず、主婦の方は、会社などからお給料をもらっているわけではありませんから、その労働をどのように評価すればいいかという問題があります。
これについては、主婦の方の年収を、賃金の統計に基づく全国の女性(全ての学歴、年齢)の平均年収をもって、評価することが裁判や損害賠償の交渉等における一般的な取扱いになっています。

これは、その時々の社会情勢により毎年変動しますが、350万円から360万円前後で推移することが多いです。
なお、男性の方の主婦であっても、休業損害は認められますが、同じ全国の女性の平均年収が参照されることが多いです。

次に、会社員のように何日休んだということを会社が証明してくれるわけではありませんので、どれだけ事故によって家事に支障をきたしたのかを検討する必要があります。
これは、事故前まで行っていた家事と、怪我による症状によって、ケースごとに違うことが想定されますので、工夫して資料を集める必要があります。

通常、事故直後は症状が重く、徐々に軽快し、治る、あるいは後遺障害が残るという判断に至りますので、事故直後(家事として)できなかったこと、段々できるようになっていったこと、未だにできないことを、段階に応じて細かくお伺いします。
後遺障害が残った場合は、労災の基準で、労働能力喪失率(これだけ労働が出来なくなったという割合)が規定されていますので、治療中にどれだけ労働・家事が出来なかったかを検討する上でも参考になります。

先にも述べましたが、家事は肉体労働ですので、怪我による支障をうけることがとても多いです。
例えば頸椎捻挫により、利き手の右手が痺れる、握力が低下するといった症状が出た場合、買い物の回数が増えたり、洗濯物を干す作業が困難になったり、料理が難しくなったり、皿を落としてしまったり、様々な場面で支障が出ることがあります。
一方で、会社員と異なり家の中での主婦としての苦労は中々見えにくい部分がありますので、困難な状況を極力具体的に、相手方や裁判所に伝えられるよう工夫をするようにしています。

(文責:弁護士 粟津 正博

慰謝料増額(弁護士 粟津 正博)

ある日突然、何の落ち度もないのに、交通事故によって危険な思いをし、平穏な生活を奪われたら当然簡単に許せるものではありません。
さらに、加害者が飲酒運転をしていた、事故後の救護を怠った(ひき逃げ)、不利な証拠を隠した、謝罪をしない、虚偽を述べて責任回避に終始するといった態様である場合には、被害者の方にとっては全く納得のいくものではないと思います。

このような場合、事故によって、被害者の方に加わる心理的な損害はさらに増加するものと考えられますので、慰謝料の増額という形で、しっかりと清算をすべきです。

以前、飲酒運転により、歩道通行中の被害者の方を車両が巻き込んだ事案がありました。加害者は事故を明確に認識しながら、救護を怠り、現場から逃走しました。(後に警察に自ら出頭して自首しました。)
警察の捜査により、加害者は相当程度酩酊していたことがわかり、刑事事件としても立件されました。蛇行運転を繰り返しており、被害者の方としても、重大な怪我を負いましたが、さらに命の危険もある、重大な事件でした。
加害者は、保険会社任せにしており、直接的な謝罪もなく、被害者の方としては精神的なショックを受けられていました。
いうまでもなく、飲酒運転、ひき逃げ行為は、明確な法律違反・違法行為です。

私は、このような違法行為による、被害者の方の精神的な負担の増加が問題であると考えました。
そこで、刑事事件の記録を取得し、事故時の加害者の認識、捜査機関に語っている内容、反省の状況などを確認しました。そして、加害者の認識や悪質性、被害者の方の気持ちを相手に伝えた上で、慰謝料を相当程度増額してもらうという形で、和解をしました。

裁判例などを参照しても、信号無視、速度超過、飲酒運転をしていた、事故後の救護を怠った(ひき逃げ)などの違法行為がある場合、不利な証拠を隠した、謝罪をしない、虚偽を述べて責任回避に終始するといった悪質な態様である場合には、慰謝料の増額が認められているケースが散見されます。

また、飲酒運転について、運転者以外の者であっても、運転者が飲酒により正常な運転をできない状態に陥った経緯において、深く関与していた者などに対する、損害の賠償の請求が認められることもありますので、検討するべきです。

車両を運転する人は、本来高度の注意義務をもって運転をしなければなりませんし、注意不足により事故を起こすこと自体本来咎められるべきことです。
しかしこれが、飲酒をしていたり、責任を否定したりといった故意による落ち度が認められる場合には、さらに悪質であるといえますし、被害者の方に与える精神的なダメージも大きくなります。
このような場合、安易に違法行為を許すべきではありませんし、適正な賠償によって、被害回復がなされるべきであると考えています。

(文責:弁護士 粟津 正博

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